診療案内
関節リウマチに代表される膠原病、膠原病類縁疾患、その他の自己免疫疾患が診療対象です。これらの疾患の多くは「難病」として特定疾患に指定されており、当院は神奈川県から委託された難病治療研究センターとしても機能しています。外来診療では、関節リウマチに対して、疾患修飾性抗リウマチ薬治療および生物学的製剤による積極的治療で寛解を目指しています。また、他の疾患のコントロールや再然の防止に努めております。入院診療ではおもに間質性肺疾患を併発した多発性筋炎/皮膚筋炎、糸球体腎炎および中枢ならびに末梢神経障害を併発した全身性エリテマトーデスや血管炎症候群などの難治性病態に対してグルココルチコイドや免疫抑制薬によるコントロールをおこないます。さらに、血液浄化療法、免疫グロブリン大量療法など最新の治療も併用して、病状の改善に努めています。
対象疾患は,関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎/皮膚筋炎、全身性強皮症、血管炎症候群など古典的膠原病に加え、シェーグレン症候群、混合性結合組織病、成人スティル病、抗リン脂質抗体症候群、ベーチェット病などの膠原病およびその類縁疾患、その他の自己免疫疾患(特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血)などです。
診療実績
外来通院患者数は約5,000人、1 年間の入院患者数は約200人です。
- 関節リウマチは約3,000人の患者を外来で診療しています。メトトレキサートなど疾患修飾性抗リウマチ薬に加え、生物学的製剤を積極的に導入して、早期にリウマチ炎症をコントロールし、高い寛解率が得られています。
- 全身性エリテマトーデスは、重篤な臓器障害を伴うことが多く、他科と連携を取り早期診断に努め、グルココルチコイドに加え免疫抑制薬、血液浄化療法などを併用して病状の改善に努めています。また、抗リン脂質抗体症候群の妊娠・出産に関して産婦人科と協力して診療をおこなっています。
- 全身性強皮症・混合性結合組織病では、難治性で予後を左右する肺高血圧症の合併が知られており、循環器内科と連携して、積極的にエンドセリン受容体拮抗薬やPDE5阻害薬,プロスタサイクリン受容体作動薬など新薬導入をおこないます。
- 多発性筋炎/皮膚筋炎は、グルココルチコイド抵抗例や間質性肺炎合併などの難治例について、研究室レベルでの自己抗体測定を用いた早期診断および免疫抑制薬の併用や免疫グロブリン大量療法による先端的な治療を試みています。
- 難治性血管炎には、グルココルチコイドや免疫抑制薬の治療に加え、特に重症例では血液浄化療法(血漿交換)をおこなっています。
- さらに、上記疾患以外のリウマチ性疾患の診断・治療もおこないます。特に、強直性脊椎炎や乾癬性関節炎の難治例では生物学的製剤で良好な成績が得られています。
診療体制
当教室は神奈川県西部におけるリウマチ性疾患診療の拠点病院として、多彩な疾患群を経験できる環境を整えています。年間の外来患者数は約4000人、初診患者数は約1000人、入院患者数は約200人を数え、特に全身性エリテマトーデス(SLE)、抗リン脂質抗体症候群(APS)、関節リウマチ(RA)の診療実績は県内でもトップクラスです。特にSLEの外来患者数においては全国的にも有数の規模を誇ります。病棟診療では、指導医、専修医、臨床助手、研修医および医学生を含む多職種チームで診療にあたっており、教授回診や症例検討カンファレンスを定期的に実施しています。これらのカンファレンスでは教授をはじめ教室の全スタッフが積極的に参加し、活発な意見交換を行っています。
リウマチ・膠原病の外来診療は豊富な経験が求められます。そのため当教室では、外来見学から始まり、次いで初診患者の診察を経験して指導医からのフィードバックを都度受け、その後に初診と再診を担当するという段階的な教育体制を整備しています。また興味深い症例に関しては、通常の症例検討カンファレンス以外にも、当教室が中心的な役割を担っている以下の地域連携カンファレンスにて提示し、教育や地域医療連携の強化に活用しています。
①神奈川県西部リウマチ性疾患症例検討会
近隣の整形外科医も参加し、関節リウマチの薬物療法や手術適応についての意見交換を実施しています。
②膠原病胸部画像読影カンファレンス
呼吸器内科医や皮膚科専門医が参加し、ミニレクチャーや症例検討を通じて知識の共有や近隣医療機関との交流を深めています。
さらに、同じ神奈川県内の診療を担う北里大学と定期的に人的交流および情報交換を密に行っており、共同で開催するカンファレンスも多数企画しています。